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黄山暁雲
唐招提寺御影堂 第2期障壁画

《黄山暁雲 唐招提寺御影堂 第2期障壁画「桜の間」》1980(昭和55)年制作・東山魁夷 72歳/紙本・墨画 襖8面/唐招提寺

 

人外の仙境

 黄山は年来の憧れの山であった。私にとって唐招提寺御影堂障壁画の第二期の制作の主題である中国風景の中に、どうしても欠くことの出来ないものだからである。
 黄山の麓に達して、いま私の想いは、奈良唐招提寺の御影堂に、いよいよ強く繋がっているのを感じる。

 黄山は安徽省南部に在って、独立した山の名称ではなく、七十二峰の総称である。古生代の片岩、砂岩、粘板岩などから成り、広大なこの山獄群の中には、玉屏楼、北海賓館、雲谷寺というふうに、昔の寺の趾が宿舎になっている以外に、村落は無い。文字通り人外の仙境である。
 古く秦代には夥山(いざん)と呼ばれ、唐朝になって黄山と名付けられた。黄山の四絶として貴松、怪石、雲海、温泉が挙げられたり、黄山に三奇在り、一松、二石、三雲海とも言われる。また「五獄より帰り来たりて山を見ることなし。黄山より帰り来たりて(五)獄を見ることなし」明代の旅行家の徐霞客が称賛している

東山魁夷自選画文集/水墨の魅力

東山魁夷主要作品