白い朝
《白い朝》1980(昭和55)年制作・東山魁夷 72歳
紙本・彩色 147.4cm×205.0cm/東京国立近代美術館蔵
白い静寂
朝、窓を開けると庭一面に雪が降り積もっている。雉鳩が一羽、城の中に鮮やかである。春から秋にかけて、いつも、つがいで飛んできては、ものうい声で鳴いていた雉鳩。
今朝は一羽だけで羽をふくらませて、じっと枝にとまっている。この白い静寂。
『東山魁夷自選画文集 5自然への賛歌/新潮社』
朝、窓をあけると、一面の雪である。
きじばとが一羽。
羽をふくらませて、じっと枝にとまっている。
寒さに耐えて、春を待っている。
白の中の、その孤独な姿。
『自然の中の喜び・冬/講談社』